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正倉院宝物「平螺鈿背八角鏡」の構造美をもとに、 内部の文様を自身の花鳥の図案として再構成し、 切り絵作品として仕上げています。古代のかたちを借りながら、 そこに現代の線と、自分自身の景色を刻みました。
色彩を纏った一羽の鸚哥に、草花や羽根、流れる線を重ね、生命の躍動を一枚の切り絵として描きました。自然の美しさと、そこに刻まれる時間や記憶。花鳥風月という言葉が持つ静かな情景を、自分自身の景色として映し出しています。
水は流れ、景色は移り変わります。けれど、心の中に残る記憶は、時折、静かに姿を現します。揺れる尾と、流れる線に刻んだのは、誰もが持つそれぞれの時間。一匹の金魚が、今日もまた、刻を泳いでいます。
作品は、一枚だけでは完成しません。光や影、置かれる場所、そして、その空間を歩く人の時間と重なることで、新たな景色が生まれます。一つひとつの切り絵が響き合い、静かに物語を紡いでいく。そんな「空間そのもの」を、ひとつの作品として表現しています。