
水は、
同じ形を持たない。
流れ、
揺れ、
映り込み、
その瞬間ごとに違う景色を見せてくれる。
幼い頃から身近にあった池や水辺の風景。
風が吹けば波紋が広がり、
光が差せば水面は静かに輝く。
そんな移ろいゆく時間の姿に、
どこか心を惹かれてきました。
奈良県大和郡山市は、
日本を代表する金魚のまちとして知られています。
水の中をゆっくりと泳ぐ姿は、
どこか時間そのものが流れているようにも見えます。
私は金魚を、
ただ美しい生き物としてではなく、
土地に積み重なった記憶を運ぶ存在として描いています。

作品は、
一枚だけで完成するものではありません。
空間に並び、
光を受け、
見る人が歩きながら時間を重ねることで、
ひとつの景色になっていきます。
切り絵という平面的な技法を通して、
立体的な時間や記憶を表現できないか。
「刻を泳ぐ」というシリーズには、
そんな想いを込めています。

私にとって、
刻とは時計の針だけを意味するものではありません。
季節の移ろい。
誰かと過ごした時間。
土地に受け継がれてきた記憶。
そうした目には見えないものが、
静かに重なり合い、
今という景色を作っている。
金魚たちは、
その流れの中を、
今日も静かに泳ぎ続けています。
















