刻の囀り<石賀直之オフィシャルウェブサイト>

刻の囀り
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『刻の囀り』

鳥は空を渡り、

花は季節を告げ、

蝶は風に舞い、

魚は水の流れを辿る。

自然の中にある美しさは、

いつの時代も人々の心に寄り添い、

記憶として静かに残り続けてきた。

私が切り絵で表現したいのは、

目に見える姿だけではない。

その土地に流れた時間。

人々が見上げた空。

語り継がれてきた物語。

そして誰かの心の中に今も残る風景である。

一枚の紙に刃を入れ、

線を残しながら刻んでいく。

その行為は私にとって、

失われていく時間や記憶を掬い上げ、

新たな景色として形にする営みでもある。

奈良に生まれ、

仏師であった祖父の手仕事を見て育った。

受け継がれてきた美意識や文化に触れながら、

私は切り絵という表現を通して、

過去と現在、

そして未来を繋ぐ作品を生み出したいと願っている。

この場所には、

私が刻んできた景色を収めている。

作品が誰かの記憶や感情と重なり、

新たな物語が生まれることを願って。

それは鳥の囀りのように、

目には見えなくとも、

確かに誰かの心へ届いていく。

私は今日もまた、

一枚の紙に刃を入れ、

刻を刻み、

その囀りを形にしている。

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