Process|刻の囀り<石賀直之オフィシャルウェブサイト>

刻の囀り
刻の囀り
刻の囀り

Design

作品は、まず私自身の記憶から始まります。

幼い頃から親しんできた鳥や花。
実家の庭や池で見てきた風景。

そうした記憶の断片が、作品の種になります。
  • コイ拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • タカ拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • ビバ拡大表示(別ウィンドウで開きます)
花鳥風月の作品では、実際の資料を細かく見ながら描くことは多くありません。

頭の中に残っている印象や記憶をたどりながら、
線を重ね、形を探していきます。

そのため、完成するまで自分でもどのような作品になるのか分かりません。
  • 下絵拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • 下絵拡大表示(別ウィンドウで開きます)
一方で、正倉院宝物や古代文化を題材にする作品では、
実物や資料を調べ、その造形やシルエットを読み取るところから始めます。

しかし、単なる再現を目的としているわけではありません。

古代の美意識に学びながら、
切り絵という表現で新しい形へと再構成していきます。
  • 宝拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • 宝拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • 宝拡大表示(別ウィンドウで開きます)
私は制作の段階で、完成形を強く思い描かないようにしています。

完成した姿が分かってしまうと、
制作する楽しみが少なくなってしまうからです。

一本の線を描くごとに形が生まれ、
思いがけない表情が現れる。

自分自身も完成を見る瞬間を楽しみにしながら制作しています。
  • 鳥拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • 鳥拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • 鳥拡大表示(別ウィンドウで開きます)
作品は、見る人によって違っていて良いと思っています。

鳥に見えるものが花に見えることもある。
懐かしい記憶を感じる人もいれば、
まったく違う物語を見つける人もいる。

その自由な解釈こそが、
作品を鑑賞する楽しさの一つだと考えています。

Cutting

下絵が完成すると、いよいよ切り出しの工程に入ります。

私にとって切り絵制作の中心となる工程です。

一本の線を残しながら切り進めるため、
途中で失敗はできません。

切る前には大きく息を吸い、
指先へ意識を集中させます。
  • 切り絵
使用している道具は、
OLFA アートナイフプロと替刃のみ。

特別な機械は使わず、
すべて手作業で切り出しています。

紙は一般的なコピー用紙です。

厚い紙は刃が入りにくく、
和紙は繊維があるため細かな表現が難しくなります。

長年試した結果、
最も自分の表現に適していたのがコピー用紙でした。
  • ナイフ
切っている間は不思議と疲れを感じません。

むしろ細かければ細かいほど、
複雑であればあるほど気持ちが高まります。

一本の線が繋がり、
少しずつ作品が姿を現していく時間は、
私にとって最も楽しい時間です。
  • とり
制作中は手の湿気にも気を使います。

時には紙やクリアファイルを手の下に敷き、
作品に直接触れないようにしながら作業を進めます。

わずかな油分や水分も、
繊細な線には影響を与えるからです。
  • とり
そして最後の一刀を切り終えた瞬間。

大きな達成感が訪れます。

それまで集中していた緊張が解け、
疲れは後から一気にやってきます。

けれど私は、
完成した作品を眺めながら余韻に浸るその時間が好きです。

自分でも予想していなかった表情に出会えることがあり、
その瞬間に次の作品への意欲が生まれます。
  • 切り絵

Coloring

切り上がった作品は、
必要に応じて着色を行います。

私にとって色は、
線を隠すためのものではなく、
作品に新たな表情を与えるためのものです。
以前は主にスプレー塗料を使用していました。

手軽に着色できる反面、
細かな調整には限界もありました。

より繊細な表現を求める中で、
現在はエアブラシによる着色を取り入れています。
  • ;
エアブラシを使うことで、
色の濃淡や重なり、
光の移ろいをより細かく表現できるようになりました。

同じ作品でも、
わずかな色の変化によって全く異なる印象を生み出すことができます。
  • :
作品によっては、
金属的な輝きや透明感、
光による見え方の変化なども取り入れながら制作しています。

色彩表現については現在も試行錯誤を続けており、
新しい素材や技法を研究しながら、
切り絵ならではの表現の可能性を探っています。
  • :
完成した色は、
作品そのものの色であると同時に、
光と空間によって変化する色でもあります。

展示会場や見る角度によって表情を変えることも、
切り絵作品の魅力の一つだと考えています。
  • /

Installation

作品は完成した瞬間に終わるのではなく、
展示空間の中に置かれることで新たな表情を持ち始めます。

私にとって展示とは、
作品を並べるための場所ではありません。

一つひとつの作品の関係性や配置、
鑑賞者の視線や動線を含めて、
空間全体で一つの体験をつくることを大切にしています。
  • :
作品は見る場所や距離によって印象が変わります。

近くで見ることで初めて気付く線。

離れて見た時に現れる全体の姿。

光や影によって生まれる表情。

そうした変化も作品の一部だと考えています。
  • ;拡大表示(別ウィンドウで開きます)
  • ;拡大表示(別ウィンドウで開きます)
展示を構成する際には、
作品同士の繋がりや空間の流れを意識します。

鑑賞者が歩きながら作品と出会い、
それぞれの記憶や感情と重ね合わせながら
自由に楽しめる空間を目指しています。
  • ;
切り絵は平面作品ですが、
展示によって生まれる景色は立体的です。

作品、空間、光、人。

それらが重なり合うことで、
一枚の作品だけでは生まれない新しい体験が生まれます。
  • :
私は作品そのものだけでなく、
作品が存在する空間もまた表現の一部だと考えています。

一枚の紙から始まった作品が、
どのような景色へと変化していくのか。

展示は、その物語の最後の工程です。
  • :
私は作品そのものだけでなく、
作品が存在する空間もまた表現の一部だと考えています。

一枚の紙から始まった作品が、
どのような景色へと変化していくのか。

展示は、その物語の最後の工程です。

PageTop